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<当診療所の糖尿病治療の基本的な考え方>
インスリン分泌細胞である膵臓のβ細胞の機能をいかに守り機能を長持ちさせるかを常に考えて治療しています。体の血糖値のコントロールは肝臓で行われています。肝臓は血糖値が高いときには糖を取り込んで貯蔵して血糖値を下げるとともに、体に糖分が少ないときには糖新生を行い糖を作り出します。糖尿病は膵臓の病気と思っている方もいるかもしれませんが、血糖値を下げたり上げたりするホルモンを作るのは膵臓で、そのホルモンが働く主な場は肝臓です。糖尿病の治療は肝臓と膵臓の働きをいかに健全に保つかが非常に大事です。
当院では膵臓のインスリン分泌に負荷をかけるSU剤などの内服薬は最小限の使用に抑え、極力膵臓を守る治療を第一に考えて診療しています。
HbA1c(NGSP)値は7.0以下(なるべく6.5%を切ること)をコントロールの目標にしています。体重減少効果のある内服薬のSGLT2阻害薬やメトホルミンを積極的に使用しています。インスリン注射や体重減少効果の強いGLP-1アナログ注射も外来で導入しています。GLP-1アナログ内服薬も積極的に導入しています。血糖値が下げることが大事ではなく、膵臓の機能を温存しながら結果として血糖値が下がることがついてくることが大事です。
受診した日の血糖値やHbA1c値を非常に気にする方がいますが、その日に結果を知って安心しても得るものは多くありません。糖尿病は長い付き合いを要する病気であり、1回の数字で大きな流れが変わることはありません。合併症を予防しながら長期的な展望に立ち多くの観点から5年後10年後を見据えた治療が必要な病気です。
当院では当日どうしても血糖値、HbA1cの値が知る必要がある場合は迅速で値を出していますが、慢性の方に関しては検査値が信頼できる外注のBML社(測定責任者の名前の記載あり)に依頼し、翌日に糖尿関連以外の検査データおよび以前のデータと電子カルテ上で比較しながらゆっくり時間を掛けて次回の検査計画を考えてチェック漏れの無いように万全を期しています。データが悪く次回受診日までに結果を知らせる必要がある場合は次回受診前に電話で連絡しています。糖尿病患者さんの死因で糖尿病自体がしめる割合はわずかです。通院しながら消化器癌のチェック、生活習慣病のチェックなど、血糖値以外多くの観察をおこなっています。受診当日の血糖値、HbA1c値を説明し、さらにその場で患者さんのすべてを網羅的に網羅することは困難なので、診療の質を下げない意味においても当院では行っておりません。
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